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【不安・緊張への対処】まずは「思考・感情・身体・行動」の現状把握から

投稿日:2020年7月16日 更新日:

試合の時など、競技をしていると「不安や緊張」といったネガティブな感情が出てくる場面もありますよね。

そこで今回は、そのような感情に対処していくための一歩目【まずは現状把握をすること】についてお伝えしていきたいと思います。

紙とペンがあれば、今すぐ練習できるのでぜひ読みながら実践してみてくださいね。

「不安・緊張」時の現状把握のやり方

不安や緊張が出てきたときに大切になるのが、「現状を把握すること」です。現状把握を、大事な場面でできるようになるために、以下のステップを実践していきましょう。

①練習として、紙に書き出してみる

②何度も実践する

③大事な場面で自動化していく

それでは、次項で詳しく紹介します。

①練習として、紙に書き出してみる

大事な場面で瞬時に、【自分の状態を把握する】ためには、練習をしておくことが大切です。
そのために【紙に書き出す】ところから始めていきます。以下のように練習してみましょう。

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それでは、皆さんが最も緊張する場面を1つ取り上げてください。
その場面を思い浮かべ、以下について詳しく書き出してみてください。
①思考・・・頭の中にある考え
②感情・・・短く言い切れるそのときの気持ち・気分
③身体・・・体の状態
④行動・・・そのときにどんな行動をとったのか

以下、バスケットボール選手の例を挙げますので、参考にしてみてください。

(例)バスケットボール選手:試合後半のフリースロー
①思考・・・失敗したら自分のせいで負ける/練習してこなかったからな
②感情・・・不安、緊張、恐怖、プレッシャー
③身体・・・緊張しすぎてふわふわ軽くなっている感じ、手汗がでる
④行動・・・何も考えずに打つ、適当に打つ

============

以上のように、場面を1つ取り上げたらその時の4つの項目をできるだけ詳しく書いていきましょう。
ポイントとしては、何が思考で何が感情で…とこだわって分類することよりも【まずは書き出してみる】ということが大切です。多少分類が間違っていてもOKです。自分の中にあるものを全部書き出すつもりで、外に出していきましょう。

②何度も実践する

以上のように、書き出すことができたら、それを繰り返し行っていきましょう。取り扱う場面や出来事は、競技のことだけに限らず【日常でストレスに感じたこと】【逆に競技でうまくいったこと】などでもOKです。

どんなネタでもOKなので、「1場面取り上げ、4つの項目を詳しく書き出す」ということを続けてみてください。
そうしていくことで、【自分が今何を感じているのか】【どんな行動をとりやすいのか】を常にモニタリングできるようになっていきます。
それが分かると、【じゃあどうすればいいの?】という対処に進んでいくことができます。
まずは、紙に書き出し、自分の状態を把握することに慣れていきましょう。

③大事な場面で自動化していく

紙に書き出すことができるようになっていったら、試合や本番などの大切な場面で【頭の中で同様のことを実践】していきます。

先ほど紙に書き出していただいたことがあると思うのですが、同様に、頭の中で4つの項目に基づき、現状把握できるようにしていきます。
というよりも、紙に書き出すことを繰り返しやっていくことで、自動的に現状把握をする力がついてくると思います。

まずは、紙に書き出す、そして繰り返し練習することを実践していくことで、最終的に自動化できるようになります。

そして、これはネガティブな出来事だけでなく、ポジティブな出来事にも応用することができます。
自分がうまくいったときには、逆にどんな「思考・感情・身体・行動」だったのかを振り返ることも役に立つと思います。「不安や緊張」に対しては困っていない選手も、ぜひ実践してみてくださいね。

*******
今回は、不安や緊張時の【現状把握のやり方】についてお伝えしていきました。自分自身が何を感じているのかをわかるようになることで、「それに対処していくこと」が可能になります。その第一歩目として、まずは紙に書き出してみてくださいね。

-緊張, 試合

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