選手のためのスポーツ心理学

心理学の専門家が【今日から現場で使えるスポーツ心理学の知識】を発信中。

練習

【科学的に正しい】自己効力感を高める方法4つ

投稿日:

「自己効力感」とは、「できそう」「やってみたい」といった、チャレンジしてみたくなるという気持ちや、やったらできそうだ、という感覚のことです。

この自己効力感を高めることで、毎日良い意識状態で練習ができるようになったり、試合で実力以上のものを発揮できるようになったりします。

そこで今回は、自己効力感を高めるための方法4つについてご紹介します。

自己効力感を高める方法4つ

①遂行行動の達成

②代理的経験

③言語的説得

④生理的・情動的状態

この4つについて、次項で詳しく解説していきます。

①遂行行動の達成

1つ目は、遂行行動の達成です。これは、「成功体験を多く経験する」ということです。

自分にとっての成功を沢山積み重ねることで、自己効力感を高めることができます。

確かに、これまでの経験で「ホームランを打てたことがない選手」よりも、「ホームランを打ったことのある選手」の方が、「よし、ホームランを打てるぞ」という意識が強い状態で試合に臨めますよね。

このように、まず成功体験の積み重ねが「自己効力感」を高めてくれます。

②代理的経験

2つ目は、代理的経験というものです。これはどういうことかというと、「他の選手の良いプレーを観察学習した結果、自己効力感が高まる」ということです。

例えば、動きの良い選手のプレーを見た後に、自分のプレーへのイメージが変化したり、いつもより良い感覚で体を動かすことができた経験はありませんか?

このように、誰かの成功体験を「観察する」だけでも、自分の体験として自己効力感を高めることができるのです。

③言語的説得

3つ目は言語的説得です。これは、他者や自分自身が「できた行動に対して、言葉でほめる」ことによって、その行動をより増やしていくというものです。

例えば、できなかったことができたときに、指導者から「できたじゃないか」「次はこれをやってみよう」などと、できたことに対する言葉でのレスポンスがあると、さらにその「成功体験の印象が強いもの」となります。

そのため、他者から、他者が居なければ自分自身での「言葉がけ」で、さらに成功体験を強めていきましょう。

④ 生理的・情動的状態

4つ目として、身体や心が良い状態であることが、自己効力感に強くつながっているそうです。

例えば、けがで痛みがあるときは、プレー面のにおいても気が乗らなかったり、なんとなくできる気がしない、というように「できる感じ」にもつながってきますよね。

また、「昨日プライベートで嫌なことがあって、気持ち的に沈んでいる」という心の状態でも、なかなか「できそう、やりたい」という自己効力感につながってきにくいということがありますよね。

このように、体や心の状態を「常に良い状態」にしておくと、自己効力感を高めやすいようです。

*******

以上にように、自己効力感を常に高めておくと、良い状態で練習・試合にのぞむことができます。4つのポイントを意識しながら、良い意識状態をつくってみてくださいね。

(参考)日本スポーツ心理学会(2010).スポーツメンタルトレーニング教本,大修館書店

-練習

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

臨床心理士・公認心理師による【選手のためのスポーツ心理学講義】

皆さんこんにちは。アスリートを専門領域とする臨床心理士・公認心理師の小林史乃です。 これから、選手に向けた、現場に役立つスポーツ心理学/臨床心理学(その他心理学)の知識を発信していきます。ぜひ、結果を …

セルフでできるメンタルトレーニング①【自分のプレーに自信をもつ】

競技をやっていると、本番発揮や日々の練習の中で「自信をつくりたい!」と強く思う選手も多いと聞きます。今回は、【自信を作る】ための、1つの方法についてご紹介したいと思います。今日、明日から実践できること …

アスリートにやってほしい【瞑想で練習前のマインドセットをつくる】

選手の皆さん、練習前の【気持ちの状態】は整っていますか? 今回は、余計な思考を巡らせず、今の練習に集中していく「瞑想」についてご紹介していきます。 練習前や自宅を出発する前の10分間があればできるので …

【目標を達成するために】正しい計画の立て方

選手の皆さん、目標をたてても、なかなか思い通りに実行できなかった経験はありませんか? そこで今回は、目標をたてた後の【計画の立て方】をご紹介していきます。 目標をいつも達成できずに終わる選手、計画倒れ …

【良い意識状態をつくる】練習前の過ごし方2つ

練習やトレーニングの前、選手の皆さんはどのように過ごしていますか? 「とりあえず時間になったから練習に行く」、という選手の方々も多いと思います。 今回は、【練習の質をさらに高める】練習前の過ごし方につ …