緊張して、どうにも体が思うように動かなくなってしまった経験はありませんか?
今回は、【あがりの兆候】についてご紹介していきます。
自分が緊張によって思うようにプレーできなくなったときを思い返しながら、客観的に自分の状態を理解してみてくださいね。
あがりの兆候を理解するメリット
試合にあがってしまって、うまくパフォーマンスが発揮できない。
そのような経験を持つ選手の方々は多いのではないでしょうか。
しかし、【あがっている状態】って結局身体のどこで何が起こっていて、気持ち的にはどのような状態なのか、具体的な特徴を理解している選手は少ないかと思います。
そこで今回は、客観的に【あがりの状態】を理解して、試合でそのような状態に陥ったときにいち早く回復するための手がかりを得ましょう。
【あがっているな】と、自分で客観的に認識できるようになると、そこへ対処していくことも可能になっていきます。
(あがっていることを自覚できなければ対処もできないということ)
では早速、【あがりの兆候】を確認していきましょう。緊張してうまく力が発揮できなかったときを思い出しながら、見てみてくださいね。
あがりの兆候は5つある
日本スポーツ心理学会が出版する『スポーツメンタルトレーニング教本』において、あがりの兆候は5つあると考えられています。(1993年の市村の研究を元に)
①自律神経系、特に交感神経の緊張
これは、交感神経が優位になった状態のことです。私たちの身体が【戦闘モード】に入ったときには、さまざまな身体反応があらわれます。
例:「のどが詰まったような感じ」「唾液がねばねばしてくる」「胸がどきどきする」
②心的緊張力の低下
自分の心の状態をコントロールできなくなっていきます。そのことから、緊張感を持つべきところでうまく緊張できない、ということにもつながっていきます。
例:「注意力が散漫になる」「落ち着こうとしてかえって焦る」「ウォーミングアップに身が入らなくなる」
③運動技能の混乱
自分をうまくコントロールできないため、それが運動技能にも表れます。
例:「体があまりいうことをきかない」「手足が思うように動かなくなる」
④不安感情
あがってしまうと、心や体が上手にコントロールできなくなっていきます。そのようなことなどから、不安感情につながっていきます。
例:「プレー中、失敗しないかと不安である」「何となく不安を感じる」
⑤劣等感情
あがってしまうことにより、相手と比較して自分の劣性を感じてしまいます。
例:「劣等感にとらわれる」「相手がいやに落ち着いて見える」
以上、5つの【あがりの兆候】についてご紹介しました。
あがってしまって思うようにプレーができない状態を、まずは【客観的に認識すること】で、対処法を考えるきっかけにつながっていきますよ。
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あがってしまうと、いつものプレーができなくて誰でも焦ってしまうものです。
ぜひ自分の状態をしっかり認識し、具体的な対処につなげていけるといいですね。
(参考)
日本スポーツ心理学会(2010).スポーツメンタルトレーニング教本,大修館書店